日本財団 図書館


 

5−1−1 業務の効率化

 

現在、行政において文書を電子データ化し、さらにその管理をシステムによって行っている事例はまだ少ないと言えるのではないだろうか。しかし、文書管理を紙媒体から電子データヘ移行することにより、文書管理プロセスを通して業務遂行の迅速化やコストの削減など、期待される効果は大きいと考えられる。又、業務を見直し、情報の統合を行うCALS的アプローチを進めることにより、情報の広範囲な共有化・再利用はさらに現実的なものとなるであろう。

 

(1) 情報の電子的管理による効果

一般に言われているように、依然として行政機関では多くの文書は紙によって流通、あるいは管理されていることが多いのではないだろうか。CALS的アプローチの第一歩としては、当然のことながら全ての文書を電子データとすることから始まると考えられる。

ここでは仮に、組織内において文書を統一的に電子化した場合の効果について想定することとする。電子化の際には、組織内で利用するアプリケーションを統一させ、データはデータベースによって一元管理されることとする。第2章で整理したように、現在、行政における文書管理には様々な問題があると想定されたが、これらの問題は電子化によってどのように改善されるのだろうか。表5−1に沿って見ていきたい。

まず、組織的ルールの問題としては、データベースの一元管理により、文書の所在が明確化し、検索も容易になることがあげられる。又、データベースで管理されるということは文書が属人化されず、業務の認識も共通されやすいという点があると思われる、すなわち、担当者以外でも業務に対応しやすい環境が整うことが考えられる。又、電子掲示板による文書の回覧・稟議は時間的な効率化に大きく役立つと考えられる。

次に媒体の問題について見ていくが、ここでは電子保存が容認されている場合を想定して考えたい(電子保存については、行政情報化推進計画においても原則的に実施することとされている)。まず、紙による文書の保存は広いスペースを必要とし、ファイリングなどの作業が必要となる、その点、電子データはデータベースによって格納され、その管理もシステムのメンテナンスによって行われるため、スペース、時間、労力すべての点で改善が期待される。又、組織内で作成された電子データについては修正/加工も比較的容易であり、流通という面でも紙よりも効率的に情報が行きわたるであろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION